離婚する際に必ず決めなければならないことに親権があります。

離婚届を提出するにも、親権をどちらが持つかを記載する欄に記入がなされていなければ役所では離婚届を受け取ってくれません。

これは民法第820条「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」という根拠によるもの。

このように、親権は子供がいれば当たり前のこととして認知されていますが、一方で「監護権」については親権とどう違うかわからないという方もいるでしょう。

監護権は親権の中に組み込まれたもので、一般的には親権者が監護権を合わせ持って子供の養育に当たるとされています。

ただ、例外的に親権と監護権を別に受け持つケースもあることから、この違いを知っておくと子供にとって良い場合があります。

1 親権と監護権はどう違うのか?

親権は「財産管理」「 法律上の同意」の2つから成っています。

財産管理 子どもに財産がある場合は管理し、子どもが法律行為をする際には、子どもに代わって契約、訴訟などの法律行為ができる権利のことを言います。

法律上の同意 民法第5条1項に規定されています。

「未成年者が」法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない、ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為についてはこの限りでない。

財産の管理については一般的な家庭であるとおり、親の収入によって得た子供の生活費などを親が管理するという権利のこと。

子供の小遣いなども管理するなどは普通のことですが、すでに未成年者が起業して収益を得ている場合もあります。

こうした場合でも、起業するにあたって法的手続きを親が代わりに行ったり、契約・訴訟などの法律行為をすることがあるでしょう。

法律上の同意とはこれに当たり、親権者がこの権利を行使することができるということになります。

では、監護権とは何かといえば、身上監護の中に定められた、居住指定・職業許可・懲戒・身分行為の代理のことを指します。

居住指定 その名のとおり、子供が住む場所を親が決めることであり、離婚した場合に親権者が子供を連れて別居するか、自宅に残るかなどがこれに当たります。

当然、子供は自分の力だけでは居住地を確保できないため、未成年者であれば、親の監護権のもとに居住することになるでしょう。

職業許可 未成年者が職業を決める際、またはアルバイトなどでも、保証人となってその職業に就くことを保証するなどの行為を行うことがあります。

これに対しても親がその書面にサインして職に就くことを許可するといった内容です。

懲戒 懲戒は教育やしつけという意味で、子供に対する学習教育や情操教育、叱責、激励などのあらゆる面でのしつけになります。

通常、家庭内で親が未成年者の子供に対して行うしつけのことです。

身分行為の代理 民法第737条、775条、787条、804条に規定がなされていますが、737条の未成年の子が婚姻することに起因するものとなります。

1.未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。

2.父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる、父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。

未成年の子供が結婚するときや、子供が生まれたとき、認知の問題などに関する法律で、これを親が身分行為として代理で行うということ。

監護権はこれらを総省して身上監護としており、これはつまり子供のみの周りの世話をするという解釈ができるでしょう。

子供がアルバイトをしたい、未成年でも結婚したい、住むところを決めるなどを親が子供の変わりに決定権を持つということ。

それらの教育や環境に対して懲戒を設け教育、しつけをするということになります。

以上が親権と監護権の違いですが、通常は親権を持つ側がともに監護権を持つことになります。

広く認知されていない監護権は、親権の中にあるものと思われているからでしょう。

しかし、例外的に監護権を別にし、妻が親権をもって夫が監護権を受け持つというケースもあるのです。

そこには様々な理由もあり、メリット・デメリットもあるので、その具体例を見ていきましょう。

引用元:  https://www.bengo4.com/c_3/c_1030/

2 親権と監護権が別になるとき

一般的には親権者=監護権者であり、その方が子供の福祉に資すると考えられるでしょう。

・夫の方が収入が多く、子供の財産管理には適しているものの、子どもが幼いため妻が監護権をとって身の周りの世話や教育をしていく

・夫婦の話し合いで親権者が決まらず離婚はするものの、子供を監護する必要はあるため、とりあえず親権と監護権を別にしておく

・夫の仕事の都合上で、親権を持ってはいる(財産管理と法律上の同意)ものの、身の周りの世話をするのは妻

このように、例外的に親権と監護権を分ける場合もあります。

権利を分離する場合は例外ですから、夫婦の事情が大きな理由であり、そこに至るまでには双方の話し合いできちんと合意がなされる必要があるでしょう。

監護権自体は変更することは可能ですが、親権は離婚に際して決めるべきことです。

親権の変更を求めるとなればまた協議するか、もつれれば調停になるでしょう。

それだけに、親権・監護権を分離するという場合は最初から慎重に話し合いをして夫婦で合意しておかなければなりません。

何より、親権は母親が持つのが80%で、その中にある監護権を父親が持つとなれば、それだけ大きな理由が必要になるでしょう。

子供の幸福のために親権や養育費など、離婚条件を決めるのですから、監護権も同じように、子の幸福、福祉に資するという考えをもとに決めるべきです。

では、親権と監護権を分けることにどんなメリット・デメリットがあるかを見ていきましょう。

・監護権のメリット

例えば、妻が浮気をしたことで離婚が決まったものの、子供が幼いため定説どおりに妻が親権を持つことに。

夫は養育費を支払う立場になったものの、おそらく勝手に浮気をした妻に対して、子供への愛情こそあるものの約束どおりに養育費は払わないだろうという場合。

特に養育費は子供が成人するまできちんと受け取っている母親というのは20%(逆も同じ)くらいです。

この点から、夫に監護権を持たせることで、「子供の成長に関与している」「子供への愛情を切らせていない」という意識が生まれてきます。

よって、事実上は妻が子供と一緒に生活して監護しているとしても、権利を夫が持つことで子供との関係は切れていないという事実を作ることができるでしょう。

養育費の支払いが滞らないということにもつながるため、権利を分離するメリットになりえます。

・監護権のデメリット

妻が子供と一緒に生活し、夫が監護権を持っていた場合。

例えば子供が仕事をするにあたって、その職に就く許可を与えるなどの場合、意見が割れるとなれば優先されるのは別居している監護権者の夫です。

また、未成年の段階で子供が結婚するとなった場合も同様に、監護権者の夫が決めることは多いでしょう。

このように、親権者が子供と生活するのが通常ですが、監護権を別にすれば別れた夫がその権利を持っているため、いざという時には妻は権利を行使できない状態になります。

権利を分離することのデメリットはここにあり、すでに別れた夫婦で「子供の存在だけ」を権利上共有していると言い換えられるでしょう。

こうなると問題が複雑化する上に、なかなか決定を出すことができません。

やはり、親権者が監護権を同時に持つということが一般的ですから、それに従って権利を持つようにしたほうがいいといえます。

以上が親権と監護権の大きな違い、それを分けることのメリットとデメリットになります。

いずれの選択をしても、やはり親権に関する問題は母親が圧倒的に有利であること。

それを踏まえて、監護権を分けるにしても、「子供にとって幸福であるか」を念頭に協議して決めていきましょう。21

引用元:  http://rikon-soudan.o.oo7.jp/parental_authority.html

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